2027年1月、未成年を対象にした新しい非課税投資制度「こどもNISA」が始まる予定です。2023年末に終了したジュニアNISAとは何が違うのか、現時点でわかっている制度の全体像を整理します。
📊 公開:2026年7月11日
こどもNISAとは|開始時期と対象者
こどもNISA(こども支援NISA)は、2027年1月からの開始が予定されている、0〜17歳の未成年を対象とした非課税投資制度です。すでに税制大綱に盛り込まれており、実施される可能性は高いと考えられますが、口座開設の具体的な手続きや対象商品の詳細範囲など、制度の細部については2026年中に順次発表される見込みです。本記事の内容は2026年7月時点の公表情報に基づくもので、今後変更される可能性があります。
制度の目的は、子どもの教育資金など将来のライフイベントに向けた長期・安定的な資産形成を後押しすることにあるとされています。
制度の主な特徴
- 非課税投資枠:年間60万円まで(月あたり最大5万円ペースの積立を想定)
- 非課税保有限度額:600万円
- 対象商品:つみたて投資枠と同様、金融庁に届出された長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託に限定。個別株は対象外とみられます
- 払い出し:12歳以降、資金使途が子ども本人のためのものであり、本人の同意があることを条件に引き出しが可能
- 非課税保有期間:無期限
- 18歳到達時:自動的に一般のNISA口座へ移行するとみられています
ジュニアNISAとの違い
2023年末に新規受付を終了したジュニアNISAは、非課税期間が5年間と短く、原則として18歳になるまで払い出しができないという使いにくさが指摘されていました。こどもNISAはこの2点を大きく見直した制度だと整理できます。
| 項目 | ジュニアNISA(廃止済み) | こどもNISA(2027年1月開始予定) |
|---|---|---|
| 年間非課税枠 | 80万円 | 60万円 |
| 非課税保有期間 | 5年間 | 無期限 |
| 払い出し制限 | 原則18歳まで不可 | 12歳以降、要件を満たせば可能 |
| 18歳到達時 | 課税口座へ移管 | 一般NISAへ自動移行(見込み) |
払い出し制限の緩和は、中学進学時の教育費など、18歳より前に発生する資金ニーズにも対応しやすくなる変更だと考えられます。非課税期間が無期限になった点も、長期の複利効果を活かしやすくなる要素といえそうです。
資産推移の試算|月5万円×18年間の積立
制度の上限に近い形で、月5万円(年60万円)を0歳から17歳まで18年間積み立てた場合の資産推移を試算したのが次のグラフです。年利は長期の投資信託運用で用いられることが多い5%を仮定していますが、実際の運用成果を保証するものではありません。

累計元本1,080万円(60万円×18年)に対し、年利5%で運用できた場合は複利効果によって元本を上回る運用益が積み上がる計算になります。ただし非課税保有限度額は600万円のため、実際には限度額に達した時点で新規の非課税投資枠が使い切られる点には注意が必要です。あくまで一つの試算としてご覧ください。
学資保険の「元本保証」を数字で検証する
学資保険は「満期まで持てば元本割れしない」と紹介されることが多い商品ですが、この「保証」がいつ成立するのかを数字で確認すると、印象が変わってきます。学資保険は、保険会社が契約者から預かった保険料を主に国債など安全性の高い資産で運用し、その運用益の一部を「予定利率」として契約者に還元し、残りを保険会社の運営費・利益に充てる仕組みです。つまり実質的には、保険会社が契約者の代わりに運用を行い、その運用益の大部分を保険会社側が受け取る構造だと考えられます。
一般的な目安として紹介される学資保険の返戻率(払込保険料総額に対する受取額の割合)の推移は、契約から2年で約80%、5年で約90%、10年で約98%、15年を過ぎたあたりでようやく100%を超える、という水準です(保険会社・商品・払込期間によって差があります)。つまり契約から10年前後が経過するまでは、途中解約すると払い込んだ保険料の総額を下回る「元本割れ」の状態が続くことになります。「元本保証」という言葉は、実際には契約から10年以上、多くの場合は満期に近づいて初めて実現するものであり、それより前の期間については無条件に安全とは言えない、という点は数字で確認しておく価値があります。
| 経過年数 | 返戻率の目安 | 払込額との差 |
|---|---|---|
| 2年 | 約80% | 約-20%(元本割れ) |
| 5年 | 約90% | 約-10%(元本割れ) |
| 10年 | 約98% | 約-2%(元本割れ) |
| 15年〜満期 | 100%超 | プラス数%程度 |
最終的な返戻率は商品によって差がありますが、103〜105%程度が一つの目安として紹介されることが多く、これを18年間の年率に単純換算すると、およそ年0.3〜0.5%程度になります。生命保険料控除による節税効果を加味しても、実質的な利回りは年1%未満にとどまるとされています。また返戻率は契約時点の予定利率で固定されるため、契約後にインフレが進んでも受取額は増えず、実質的な価値が目減りするリスクがある点も、学資保険側の特徴として挙げておく必要があります。
長期の分散・積立投資との客観的な比較
一方、こどもNISAのような長期・積立・分散投資について、金融庁が公表している試算では、保有期間5年では一定の確率で元本割れが発生していたのに対し、保有期間を20年まで延ばした場合には、過去のデータ上、元本割れが発生した実績はなく、年率2〜8%程度のレンジに収束したとされています。これはあくまで過去の実績に基づく試算であり、将来の運用成果を示すものではありません。ただし、「保有期間を十分に取れるかどうか」が、学資保険・投資のどちらにおいても最終的な結果を左右する共通の条件だという点は見えてきます。
| 比較項目 | 学資保険 | 分散・積立投資(金融庁試算) |
|---|---|---|
| 「元本割れしない」水準に達するまでの目安期間 | 約10〜15年 | 約20年(過去実績) |
| その後の期待リターン(年率) | 約0.3〜0.5%程度 | 約2〜8%程度のレンジ(過去実績) |
| インフレへの対応 | 契約時の利率で固定・対応しにくい | 資産価格に反映されやすい |
| 途中解約・売却時のリスク | 経過年数が浅いほど元本割れ幅が大きい | 市場変動により一時的に元本を下回る可能性 |
数字だけを見ると、「元本割れしない」水準に実質的に達するまでの期間は学資保険の方が短い一方、その後の期待リターンは投資の方が高いレンジで紹介される傾向があります。どちらが優れているかを一概に結論づけることはできませんが、少なくとも「学資保険=安全、投資=リスク」という単純な二分法だけでは、この期間とリターンのトレードオフを正しく捉えきれない可能性があります。学資保険は保険会社が運用の主体となり契約者にはその一部しか還元されない商品である一方、こどもNISAは運用主体が契約者自身になる、という構造の違いも判断材料の一つになると考えられます。本記事は特定の商品・方法を推奨するものではなく、教育資金の準備方法を検討する際の判断材料として、数字に基づく比較を提示しました。
本記事で参照したデータ・出典
YKの視点|情報の確定を待ちながら準備しておきたいこと
運営者YKの現在の運用資産は、保有数量×直近の株価で再計算すると約6,259万円(2026年7月時点)です。子どもがいる家庭であれば、こどもNISAの開始に向けて今からできる準備は、家計の中で教育資金にどの程度の月額を回せるかを試算しておくことだと考えています。制度の対象商品や口座開設手続きはまだ確定していないため、現時点で無理に結論を出す必要はなく、まずは情報を継続的に追いかける姿勢で十分だと考えています。
断定はできませんが、非課税期間が無期限になったことで、他の非課税制度と同様に「長期・積立・分散」という基本方針がそのまま活かせる制度になる可能性が高いと考えられます。
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本記事は2026年7月時点の公表情報に基づく整理であり、制度の詳細は今後変更される可能性があります。特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。免責事項


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