三菱商事は「累進配当」を掲げる代表的な商社株として知られています。実際のところ何年間減配していないのか、そして同じ商社でも銘柄によって配当の安定度に差はあるのか。私が実際に保有する住友商事のデータと比較しながら検証します。
累進配当とは何か|三菱商事の実際の記録
累進配当とは「減配せず、維持または増配のみを行う」という配当方針です。三菱商事は近年、この方針を明確に打ち出しています。実際の配当実績を会計年度(3月期決算)ベースで10年分集計しました。

| 会計年度 | 年間配当金 | 前期比 |
|---|---|---|
| 2017年3月期 | 26.7円 | — |
| 2020年3月期 | 44.0円 | +5.6% |
| 2021年3月期 | 44.7円 | +1.5% |
| 2023年3月期 | 60.0円 | +20.0% |
| 2026年3月期 | 110.0円 | +10.0% |
2017年3月期の26.7円から2026年3月期の110円まで、10期にわたって一度も減配していません。約4.1倍への増配です。特に注目すべきは2021年3月期で、新型コロナウイルスの影響で資源価格が急落し、多くの商社が業績を落とした年でも、三菱商事は前期比+1.5%とわずかながら増配しています。
同じ商社でも差がある|私の実保有銘柄(住友商事)との比較
「商社株=累進配当」というイメージが独り歩きしがちですが、実際には銘柄ごとに差があります。私は住友商事を400株実際に保有しているので、同じコロナ禍の局面でどう違ったかを比較しました。

三菱商事が2021年3月期に配当を維持・微増させた一方、私が保有する住友商事は同じ年に前期比-12.5%の減配となりました(1株あたり20.0円→17.5円)。住友商事もその後は増配基調を取り戻し、2026年3月期には37.5円まで回復していますが、「一度も減配していない」という記録は途切れています。同じ大手総合商社でも、累進配当を明確な方針として掲げているかどうかで、危機時の配当の底堅さに差が出ることが、この実例からわかります。
累進配当のコストと限界|配当性向から見る
累進配当は投資家にとって魅力的ですが、企業側には「利益が減っても配当は減らせない」という制約になります。三菱商事の現在の配当性向は約52%で、利益のおよそ半分を配当に回している計算です。資源価格が急落するような局面が続けば、配当性向がさらに上昇し、内部留保や投資余力を圧迫するリスクはあります。累進配当を「無条件に安全」と見るのではなく、配当性向の水準とあわせて確認することをおすすめします。配当性向の危険水域の見方は配当性向の見方の記事で詳しく解説しています。
運営者YK視点|住友商事を保有していて感じること
投資歴20年・運用資産6,000万円規模の私自身の保有実感を書きます。私は住友商事を400株保有していますが、三菱商事は保有していません。今回の分析で、自分の保有銘柄が過去に一度減配していた事実を数字で再確認しました。
それでも住友商事を売らずに持ち続けているのは、減配後も増配基調を取り戻し、直近の年間配当金が減配前の水準を大きく上回っているためです。1回の減配で銘柄を見限るのではなく、その後の回復力まで含めて評価するのが、実際に保有を続けている立場からの実感です。同時に、次に業績が悪化する局面では三菱商事のような累進配当銘柄のほうが下値の耐性が強い可能性がある、という点も踏まえておきたいと考えています。
まとめ
三菱商事は10期連続で減配せず、コロナ禍でも配当を維持した実績があります。一方、同じ商社でも住友商事のように過去に減配した銘柄もあり、「商社株だから累進配当」と一括りにはできません。累進配当を評価する際は、実際の減配履歴と配当性向の両方を確認することをおすすめします。
商社株を含む私の実際の保有銘柄は高配当ポートフォリオの実践記事、セクター分散の考え方はセクター分散の記事、配当の受取実績は配当金推移の実録記事もあわせてご覧ください。
本記事は公開情報および運営者自身の保有データに基づく個人的な整理であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。詳細は免責事項をご確認ください。


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