高配当株の買い時|利回りと株価の逆相関

高配当株の買い時 利回りと株価の逆相関 三菱商事の実例で解説 投資テーマ解説

配当が変わらなければ、株価が下がるほど配当利回りは上がります。私が長期保有している17銘柄からは、2021年8月以降に104回、税引後で53万6,960円の配当を受け取りました。

公開:2026年7月8日

配当利回りとは|株価と配当の関係をおさらい

配当利回りは、株価に対して1年間でどれだけの配当を受け取れるかを示す指標で、次の式で計算します。

配当利回り(%)= 1株あたり年間配当 ÷ 株価 × 100

ここで重要なのは、分子の「配当」は企業の方針で決まり、短期間では大きく変わらないのに対し、分母の「株価」は日々変動するという点です。つまり配当が一定なら、利回りは株価の動きだけで上下することになります。

利回りと株価は逆相関|株価が下がると利回りが上がる仕組み

配当を一定と仮定して、株価が変わると利回りがどう動くかを試算したのが次の図です。

配当を固定すると株価と配当利回りは逆に動く(1株配当100円での試算)
図:配当を固定すると株価と配当利回りは逆に動く(1株配当100円での試算)(一定の前提に基づく運営者の試算です)

1株あたり配当を100円で固定すると、株価が2,500円のときの利回りは4.0%ですが、株価が1,250円まで下がると利回りは8.0%に上昇します。株価が半分になれば利回りは2倍になります。これが利回りと株価の逆相関です。配当方針が維持される限り、株価の下落局面はそのまま「利回りが高まる局面」を意味します。

この関係があるため、高配当株投資では株価が上がって話題になっているときよりも、相場全体が下げて株価が安くなっている局面のほうが、結果的に高い利回りで仕込める傾向があります。

実例で見る|三菱商事の株価と想定利回り

実際の高配当株でこの逆相関を確認してみます。代表的な商社株である三菱商事(8058)の直近2年の株価推移が次の図です。

三菱商事(8058)の株価推移・直近2年(安値2,269円/高値5,882円)
図:三菱商事(8058)の株価推移・直近2年(安値2,269円/高値5,882円)(出典:Yahoo Financeの価格データより運営者作成)

この2年間で、株価は安値2,269円(2025年2月)から高値5,882円(2026年5月)まで大きく変動しました。仮に1株あたり年間配当を125円で一定と置くと、想定利回りは安値時で約5.5%、高値時では約2.1%と計算されます(会社予想配当を固定した試算です)。同じ銘柄でも、いつ買うかによって受け取れる利回りが2倍以上変わることになります。

三菱商事(8058)の株価水準別の想定配当利回り(1株配当125円で固定した試算・出典:Yahoo Financeの株価データより運営者算出)
局面 株価 想定利回り
2年安値(2025年2月) 2,269円 約5.5%
直近 約4,500円 約2.8%
2年高値(2026年5月) 5,882円 約2.1%

高配当株の買い時を考える3つの視点

この関係から、買い時の目安は3つ考えられます。いちばん使えるのは、その銘柄の過去の利回りレンジと比べることです。利回りが世間一般で高いかどうかより、その銘柄にとって高い水準か、つまりレンジの上限に近いかを見ます。次に、個別の悪材料ではなく相場全体が崩れた局面は、優良な高配当株も一緒に安くなるので、利回りが上がりやすい場面です。最後に、底値を当てるのは難しいので、一度に買わず何回かに分けて買い下がります。

逆相関の落とし穴|「高利回り=買い」ではない

ここで注意したいのは、利回りが高いという理由だけで買い時と判断するのは危険だという点です。株価が下がって利回りが上がっている背景に、業績悪化や減配の懸念がある場合、その株価下落は「正しい下落」であり、いずれ配当そのものが減らされる可能性があります。

配当が減れば、利回りの計算式の分子が小さくなり、高いはずだった利回りは絵に描いた餅になります。こうした「割安に見えて実は危険な株」はバリュートラップと呼ばれます。逆相関を利用するときは、配当の持続性を必ず確認する作業が欠かせません。配当の持続性を測る指標については、配当性向の見方|高すぎる配当の危険サインで詳しく解説しています。

17銘柄の実績が示す「買い時」の答え合わせ

買い時の理屈を並べても仕方がないので、私が実際に買った17銘柄がどうなったかを出します。すべて長期保有で、売買はしていません。

運営者保有銘柄の取得単価と現在値・累積利回り(株価は2026年8月19日終値、配当は税引後の実受取額。出典:運営者の保有明細とYahoo Finance)
銘柄 取得単価 現在値 評価損益率 YOC(取得額に対する累積配当)
三井住友FG 1,285円 6,568円 +411.1% 27.3%
センチュリー21 1,023円 1,126円 +10.1% 28.4%
丸紅 1,227円 4,796円 +290.9% 23.7%
ヤマハ発動機 1,208円 1,874円 +55.1% 4.0%
アイチコーポレーション 1,291円 1,390円 +7.7% 1.9%
ニホンフラッシュ 792円 704円 -11.1% 0%

ここから読み取れることは、本文で書いた「利回りが高いときに買う」という理屈だけでは説明がつかない、という点です。

センチュリー21は株価がほとんど動いていません(+10.1%)。それでもYOCは28.4%で、17銘柄の中で最も高い水準です。逆にアイチコーポレーションは+7.7%とほぼ同じ値動きですが、YOCは1.9%しかありません。差は買った時期の長さです。

唯一の含み損はニホンフラッシュで、この銘柄は集計期間中に配当の受取記録がありません。買い時を外したというより、買った後に配当が続かなかったケースです。

私が17銘柄を通じて学んだのは、買った瞬間の利回りより、そのあと何年配当を受け取り続けられたかで結果が決まるということでした。104回・53万6,960円という受取回数の多さが、株価の上下より効いています。

私が買い時をどう判断してきたか

投資歴20年・運用資産6,300万円規模(2026年7月時点、投資信託は6月11日基準価額で算出)で高配当株を中心に運用してきた経験から言うと、私は買い時を「株価」ではなく「その銘柄にとっての利回り水準」で見るようにしています。株価が上がって話題になっている銘柄に飛びつくのではなく、相場が崩れて誰も見向きもしない局面で、過去レンジ上限の利回りになった優良株を静かに買い増す。このスタンスが、結果的に受取配当を積み上げる近道だったと感じています。

もちろん、下落の理由が減配につながる構造問題でないかは毎回確認します。利回りの高さだけを見て飛びつくと、バリュートラップにはまるためです。逆相関は強力な味方ですが、配当の持続性とセットで使うものだと考えています。

高利回りは、下げた理由と配当の持続性を確かめてから

配当利回りと株価は逆相関の関係にあり、配当が維持される限り株価の下落局面は利回りが高まる買い時の候補になります。ただし「高利回り=買い」ではなく、株価下落の理由と配当の持続性を確認することが前提です。過去の利回りレンジ・相場全体の下落・時間分散という3つの視点で、割安な高配当株を落ち着いて拾っていきたいところです。

株価データの確認先

買い時の判断に関連する記事

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任で行ってください。詳しくは免責事項をご覧ください。

コメント