日経平均株価が1日で3%以上下げた日は、2006年以降の5,058営業日で121日ありました。年に5.9回です。この頻度で来る「売りたくなる日」を、判断ではなく仕組みで通過するための設計を、自分の記録で確認しました。
「売りたくなる日」は年に5.9回来る
まず頻度を数えました。2006年1月から2026年9月4日までの5,058営業日が対象です。

| 下落率 | 日数 | 年あたり |
|---|---|---|
| -3%以下 | 121日 | 5.9回 |
| -5%以下 | 29日 | 1.4回 |
| -7%以下 | 9日 | 0.4回 |
年に5.9回、およそ2か月に1回のペースです。20年投資を続けるなら120回ほど通過することになります。
年ごとの偏りは大きく、リーマンショックの2008年が29回で突出しています。2012年・2017年・2023年はゼロでした。そして注目したいのが2026年で、9月4日時点ですでに11回。まだ4か月残して、20年間で2番目に多い年になっています。今年は例年より不安になる回数が多い、というのは気のせいではありません。
急落日を待って買うと、得なのか
「下がった日に買えばいい」という考え方があります。実際にどうなのかを測りました。3%以上下げた日に買って1年後まで持った場合と、日を選ばずに買った場合の比較です。

| 買うタイミング | 件数 | 平均 | 中央値 | プラス率 |
|---|---|---|---|---|
| 3%以上下げた日 | 109件 | +10.7% | +13.4% | 67.0% |
| 日を選ばない | 4,815件 | +9.1% | +7.9% | 63.6% |
急落日に買ったほうが平均で1.6ポイント、中央値で5.5ポイント高い結果でした。差はあります。ただ、この差を取りに行くために年5.9回しか来ない日を待つのかというと、話は別です。待っている間に買えない日が240日ほどあり、そちらの平均も+9.1%あるからです。
もうひとつ、この数字には落とし穴があります。3%下げた日に買うには、その日に買う勇気が要るという点です。実測上は67.0%の確率でプラスになりますが、下げている最中にそれを実行できるかは別の問題でしょう。仕組みで買っている人だけが、この日を自動的に拾えます。
私が自動化したこと、していないこと
投資歴20年、日本株17銘柄と投資信託を保有しています。何を自動にして何を手元に残しているかを、正直に棚卸ししました。
- 自動にしているのは投資信託の積立です。オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)とSBI・V・S&P500インデックス・ファンドを、金額と日付を決めて買い続けています。相場を見て金額を変えることはしません。
- 配当の受取も自動です。証券口座に入金されるだけで、私が何かする場面はありません。
- 自動にできていないのが売却の判断です。ここは「売らない」というルールを先に決めることで、判断そのものを発生させない形にしています。
- 個別株17銘柄の買い増しは手動ですが、この数年は実行していません。
効果がはっきり出ているのは配当です。2021年8月から2026年6月までに受け取った配当は104回、税引後の合計で53万6,960円でした。この104回のうち、私が「受け取るかどうか」を判断した回数はゼロです。銘柄を買った最初の1回だけが判断で、あとは仕組みが動いています。2025年だけで14万4,138円が、何もしないまま入金されました。
積立でも同じことが起きています。ドル円が160円台まで円安が進んだ局面でも、積立額は変えていません。為替を見て判断を挟むと、その判断が当たったかどうかを毎月検証しなければならなくなります。判断を作らないほうが、続けるコストは低いと考えています。
8月19日に何もしなかった記録
直近で仕組みが試された日があります。2026年8月19日、日経平均は2,134円31銭安の65,326円で引けました。下落率は3.16%で、この年11回あった急落日のひとつです。
この日、私の保有17銘柄は単純平均で-2.14%、17銘柄中16銘柄が下落しました。AI・半導体株を1銘柄も持っていないにもかかわらず、三井住友フィナンシャルグループが-4.81%、三菱UFJフィナンシャル・グループが-4.35%と、銀行株も大きく下げています。「持っていないセクターの急落なら影響は小さい」とはなりませんでした。
私はこの日、売却も買い増しもしていません。積立も止めていません。
では正解だったのか。9月4日の日経平均は65,021円で、8月19日の終値から-0.47%です。3週間経っても戻っていません。この時点だけを切り取れば、売っていたほうがわずかに良かったことになります。
ここは正直に書いておきます。3週間で答えが出る話ではありません。前の章で見た通り、急落日から1年後にプラスだったのは67.0%であって100%ではないからです。仕組み化は毎回勝つための道具ではなく、判断の回数を減らすための道具だと私は理解しています。
仕組みで消せるのは判断であって、不安ではない
20年やってきて分かったのは、自動化しても不安がなくなるわけではないということです。8月19日の相場を見て何も感じなかったかというと、そんなことはありません。株価が下がれば嫌な気持ちになります。
変わったのは、その気持ちが行動に変換されなくなった点です。売却は「しない」と決めてあり、積立額は事前に決まっていて、配当は勝手に入ります。感情が入り込む隙間が構造的に狭いだけで、感情そのものは残っています。
「感情を排除する」という言い方をよく見ますが、実感としては排除ではなく遮断です。感じたうえで、それが売買につながる経路を切っておく。年5.9回来る日を120回通過するには、この形しか私には続けられませんでした。
まとめ
- 日経平均が3%以上下げる日は年5.9回。20年で約120回通過する計算になります。
- 急落日に買うと1年後リターンは平均+10.7%で、日を選ばない場合の+9.1%を1.6ポイント上回りました。差はあるが、待つコストのほうが大きいと判断しています。
- 配当104回・53万6,960円のうち、判断を挟んだ回数はゼロでした。
- 8月19日の急落で保有株は平均-2.14%。何もしませんでしたが、3週間後の時点では答えは出ていません。
仕組み化の目的は勝率を上げることではなく、判断の回数を減らすことにあります。判断が少なければ、間違える機会も少なくなります。私が20年続けられた理由は、たぶんそれだけです。
この記事で使ったデータ
- 日経平均の日次終値:Yahoo Finance(2006年1月4日〜2026年9月4日・5,058営業日)
- 受取配当の実額:運営者の証券口座入金明細(2021年8月〜2026年6月・104件)
- 保有17銘柄の騰落:各銘柄の終値より運営者算出
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本記事は特定の銘柄や投資手法を推奨するものではありません。数値は執筆時点のデータに基づく運営者の算出であり、将来の成果を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。詳細は免責事項をご覧ください。


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