INPEXの配当は原油に連動するか|5年で配当4倍を検証

INPEX 配当 原油価格 累進配当 投資テーマ解説

INPEXの株価は原油と一緒に動きますが、配当は原油に連動していませんでした。WTI原油の年平均は2022年の94.3ドルから2025年の64.7ドルへ3割下がったのに、1株当たりの年間配当は62円から100円に増えています。

私はINPEXを100株、取得単価1,462円で持っています。2026年12月期の配当予想112円で計算すると、取得単価に対する利回りは7.66%です。

公開:2026年10月21日(株価・原油は2026年10月20日終値まで)


配当を決めているのは「年90円を起点とする累進配当」

INPEXは2025〜2027年の中期経営計画で、株主還元の方針を2つ掲げています。1株当たり年間90円を起点とする累進配当と、自己株式取得を合わせた総還元性向50%以上です。累進配当は、前の年より配当を減らさないという約束です。

2026年12月期の年間配当予想は、期初の108円から8月の中間決算で112円(中間56円)に引き上げられました。同じ期に過去最高の1,400億円の自己株式取得を決めていて、株主還元の総額は2,703億円、総還元性向は約53%になる見込みと会社は説明しています。

配当の増え方を決めているのは、この方針の部分です。ただし累進配当は、あくまで2027年までの中期経営計画の期間に示された方針です。その先も同じ約束が続くかは、次の計画を見るまで分かりません。三井住友FGが掲げる累進的配当との比較は日銀1.25%と銀行株配当|三菱UFJ・三井住友の還元方針に書きました。

配当と原油価格を並べると

図:INPEXの1株当たり年間配当とWTI原油の年平均価格。2022年から2025年にかけて原油は94.3ドルから64.7ドルへ下がったが、配当は62円から100円へ増えた(出典:Yahoo Financeの配当・価格データ、2026年はINPEXの配当予想より運営者作成)
図:図:INPEXの1株当たり年間配当とWTI原油の年平均価格。2022年から2025年にかけて原油は94.3ドルから64.7ドルへ下がったが、配当は62円から100円へ増えた(出典:Yahoo Financeの配当・価格データ、2026年はINPEXの配当予想より運営者作成)(出典:Yahoo Financeデータより運営者作成)
INPEXの年間配当とWTI原油の年平均価格(配当はYahoo Financeの権利落ち実績、2026年は会社予想。原油はYahoo Financeの日次終値の年平均。2019年は決算期変更のため除外)
年 WTI年平均 1株当たり年間配当
2020年 39.3ドル 24円
2021年 68.1ドル 48円
2022年 94.3ドル 62円
2023年 77.6ドル 74円
2024年 75.8ドル 86円
2025年 64.7ドル 100円
2026年 84.4ドル(10月20日まで) 112円(予想)

2020年から2022年までは、原油が39.3ドルから94.3ドルへ上がる中で、配当も24円から62円に増えました。ここまでは連動していたと言えます。

流れが変わったのは2022年以降です。原油は3年続けて下がり、2025年には64.7ドルまで戻りましたが、配当は74円、86円、100円と毎年増え続けました。円安で円建ての原油価格の下げは小さくなっていますが、それでも2022年から2025年にかけて約2割下がっています。配当が減らなかったのは、原油が高かった年の利益に配当を合わせるのではなく、方針で配当の下限を決めたためです。

2020年の24円から2025年の100円まで、配当は5年で約4.2倍になりました。同じ5年で、原油の年平均は1.6倍です。

株価は原油と同じ方向に動く

図:2021年1月第1週を100としたINPEX株価・WTI原油先物・日経平均の推移。INPEXは628、WTIは198、日経平均は228(出典:Yahoo Financeの週末終値より運営者算出。配当は含まない)
図:図:2021年1月第1週を100としたINPEX株価・WTI原油先物・日経平均の推移。INPEXは628、WTIは198、日経平均は228(出典:Yahoo Financeの週末終値より運営者算出。配当は含まない)(出典:Yahoo Financeデータより運営者作成)

株価のほうは事情が違います。月ごとの値動きの相関を計算すると、2021年1月から2026年10月までで、INPEXとWTI原油は0.64、INPEXと日経平均は-0.01でした。INPEXの株価は、日本株全体の動きより原油の動きに合わせて上下しています。

INPEX株価の月次騰落率と、WTI原油・日経平均の月次騰落率との相関(月末終値。Yahoo Financeのデータより運営者算出)
期間 WTI原油との相関 日経平均との相関
2016年1月〜2026年10月 0.56 0.36
2021年1月〜2026年10月 0.64 -0.01
2024年1月〜2026年10月 0.59 -0.26

ただし、上げ幅まで原油と同じではありません。2021年1月第1週を100とすると、2026年10月の時点でINPEXは628、WTI原油は198、日経平均は228です。月々の上げ下げは原油と同じ方向でも、5年あまりでの上昇は原油の3倍以上でした。この間にドル円は103円台から158円台に動きました。売上の多くをドル建てで得る会社なので、円安は円換算の利益を押し上げます。自己株式取得で発行済株式数が減ることも、1株当たりの利益や配当を押し上げる方向に働きます。

2026年に入ってからは、WTI原油が2025年末から10月20日までに約8割上がった一方で、INPEXの株価は+22.3%でした。原油が急に上がった年でも、株価がそのまま同じ率で上がるわけではありません。4月の中東情勢の沈静化局面でエネルギー株がどう動いたかはイラン情勢と日本株セクターの記事で追いました。

私の100株は、受取額が2年半で1.35倍になった

私のINPEXは100株、取得単価は1,462円です。配当の入金記録では、2023年9月から2026年3月までの6回で、税引後の合計は2万722円でした。1回あたりの受取額は、2,949円(2023年)、3,427円(2024年)、3,985円(2025年と2026年3月)と増えています。最初と最近の回を比べると、1.35倍です。

2026年12月期の予想112円がそのまま払われると、取得単価1,462円に対する利回りは税引前で7.66%、税引後で6.10%です。今の株価3,823円(10月20日)で買う場合の配当利回りは2.93%なので、同じ配当でも、持っている株と新しく買う株とでは利回りがまったく違います。

10月の運用実績レポートでは、9月18日からの1か月で-7.00%と、17銘柄の中で下から4番目でした。それでも株数は100株のまま変えていません。配当は方針に沿って増えていて、持ち続ける理由になっている配当そのものに変化が出ていないからです。17銘柄全体の数字は2026年10月の運用実績レポートにあります。

配当は方針で決まり、株価は原油で動く

INPEXの配当は、少なくとも2027年までは年90円を下限に増やす方針で守られています。株価は原油の上下に合わせて動くので、株価が下がる場面でも配当は減らない、というのが今の形です。気をつけたいのは、累進配当が中期経営計画の期間の約束だという点です。2028年以降の方針が示されたとき、配当と原油の関係がもう一度変わるかどうかを確かめます。

参照した開示資料とデータ

  • 株主還元方針:INPEX「株主還元・配当情報」
  • 2026年12月期の配当予想・自己株式取得・株主還元総額:INPEX「株主還元とご優待」(2026年12月期第2四半期決算に基づく)
  • 配当の権利落ち実績・株価・WTI原油・日経平均・ドル円:Yahoo Finance(2016年1月〜2026年10月20日)
  • 受取配当:運営者の証券口座の入金明細(税引後、2023年9月〜2026年3月の6回)

本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。配当予想や株主還元方針は会社の判断で変更される可能性があります。詳細は免責事項をご覧ください。

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