日銀1.25%と銀行株配当|三菱UFJ・三井住友の還元方針

日銀利上げと銀行株の配当 三菱UFJ・三井住友FG 投資テーマ解説

日銀は2026年9月18日、政策金利を1.0%から1.25%へ引き上げました。マイナス金利を解除する前日(2024年3月18日)から数えると、三菱UFJと三井住友FGの株価はともに+136%で、日経平均の+64%の2倍を超えます。ところが直近2回の利上げの当日は、日経平均が上がるなかで両行とも下げました。両行の還元方針と、両行から実際に受け取ってきた配当を合わせて整理します。

公開:2026年9月23日(株価は2026年9月18日終値)

2年半で政策金利は1.25%に、銀行株は2.4倍に

2024年3月のマイナス金利解除から、日銀は段階的に政策金利を引き上げてきました。0.25%(2024年7月)、0.5%(2025年1月)、0.75%(2025年12月)、1.0%(2026年6月)と進み、9月18日の会合で1.25%になりました。政策委員9人のうち2人が反対票を投じています。

同じ期間の株価を並べたのが下の図です。点線が政策金利の決定日です。

図:日銀の利上げ局面と三菱UFJ・三井住友FG・日経平均の株価推移(2024/3/18=100)(出典:Yahoo Financeの日次終値より運営者作成)
図:図:日銀の利上げ局面と三菱UFJ・三井住友FG・日経平均の株価推移(2024/3/18=100)(出典:Yahoo Financeの日次終値より運営者作成)(出典:Yahoo Financeデータより運営者作成)

2024年3月18日の終値を100とすると、2026年9月18日時点で三菱UFJは236、三井住友FGも236でした。銀行株だけを集めたETF(NEXT FUNDS TOPIX銀行業、1615)も+137%なので、2行が特別だったわけではありません。銀行セクター全体が一緒に上がっています。

銀行株が金利に反応するのは、本業の利益が「貸出金利と預金金利の差(利ざや)」から生まれるからです。マイナス金利の時代はこの差が極端に薄く、金利が戻ると貸出側の金利が先に上がりやすくなります。住宅ローンや株式市場全体への波及は日銀利上げの影響|住宅ローン・銀行株・株式市場で試算しました。

利上げ当日の株価は、直近2回とも下げた

2年半で2倍を超えたのだから、利上げのたびに上がってきたように見えます。決定日の終値の騰落率を並べると、そうではありませんでした。

日銀の政策金利決定日における終値の前日比(Yahoo Financeの日次終値より運営者算出)
決定日 政策金利 三菱UFJ 三井住友FG 日経平均
2024年3月19日 マイナス金利解除 -0.39% -0.12% +0.66%
2024年7月31日 0.25% +4.14% +4.50% +1.49%
2025年1月24日 0.5% 0.00% -0.58% -0.07%
2025年12月19日 0.75% +0.84% +2.20% +1.03%
2026年6月16日 1.0% -0.43% -1.69% +0.13%
2026年9月18日 1.25% -0.88% -0.70% +1.38%

6回のうち、2行とも日経平均を上回ったのは2024年7月と2025年12月の2回だけです。9月18日は日経平均が+1.38%上がった日に、三菱UFJは-0.88%、三井住友FGは-0.70%でした。

利上げは事前に報道され、会合の前に株価へ織り込まれます。当日に上がるかどうかは「予想より積極的だったか」で決まり、利上げそのものでは決まりません。2年半の上昇は、利上げの当日ではなく、次の利上げを待つ期間に積み上がってきました。

還元方針は「配当性向40%」で共通、違いは累進の明記

両行の株主還元方針を、各社IRページの記載から比べます。

三菱UFJと三井住友FGの株主還元方針(出典:各社IRサイト「株主還元方針」、2026年9月時点)
項目 三菱UFJ 三井住友FG
配当性向の目安 40%程度 40%
配当の基本方針 利益成長を通じた1株当たり配当の安定的・持続的な増加 累進的配当方針を明記。ボトムライン収益の成長で増配
自社株買い 機動的に実施。2026年5〜6月に約1,000億円を取得 機動的に実施。27/3期は1,800億円を公表
消却 自己株式が発行済株式の5%程度を超えた分は原則消却 —

配当性向40%は、純利益の4割を配当に回すという意味です。金利が上がって利益が増えれば配当も増え、利益が減れば配当も減る仕組みです。そこに「減配しない」という約束を足しているのが三井住友FGの累進的配当方針で、三菱UFJは「安定的・持続的な増加」という表現にとどめています。配当性向が高すぎる会社との見分け方は配当性向の見方|高すぎる配当の危険サインで扱いました。40%は、そこで危険ラインとした水準よりかなり下です。

実際の1株当たり配当は、利上げ局面と並行して伸びました。

図:三菱UFJ・三井住友FGの1株当たり年間配当の推移(22/3期〜27/3期予想・分割調整後)(出典:各社IR「配当情報」より運営者作成)
図:図:三菱UFJ・三井住友FGの1株当たり年間配当の推移(22/3期〜27/3期予想・分割調整後)(出典:各社IR「配当情報」より運営者作成)(出典:Yahoo Financeデータより運営者作成)

22/3期から27/3期予想までに、三菱UFJは28円から96円へ3.4倍、三井住友FGは70円から180円へ2.6倍です。三井住友FGは2024年10月に1株を3株に分割しているため、図の金額は分割後の基準にそろえています。

株価2.4倍でも、配当利回りはほとんど下がっていない

株価がこれだけ上がれば、配当利回りは大きく下がりそうです。マイナス金利解除の前日と、今回の利上げ日で比べました。

配当利回りと政策金利の比較(配当は各期の年間実績または会社予想、株価は終値。運営者算出)
時点 三菱UFJ利回り 三井住友FG利回り 政策金利
2024年3月18日(24/3期配当で計算) 2.67% 3.11% -0.1%
2026年9月18日(27/3期予想で計算) 2.65% 2.64% 1.25%

三菱UFJの利回りは2.67%から2.65%で、ほぼ横ばいでした。株価が2.4倍になった間に、配当も41円から96円へ2.3倍になったからです。三井住友FGは3.11%から2.64%へ下がっていて、配当の伸びが株価に少し追いついていません。

変わったのは政策金利との差です。2024年3月は利回りが政策金利を2.7〜3.2ポイント上回っていましたが、いまは1.4ポイントほどしかありません。預金にも金利がつく時代になり、「銀行株の配当は預金よりずっと有利」とは言いにくくなりました。

2行から受け取った配当は4年で2.2倍に

私の受取記録では、三井住友FGは2021年、三菱UFJは2023年から配当を受け取っています。株数は三井住友FGが300株(分割前は100株)、三菱UFJが100株で、どちらも買い増しはしていません。受取記録から、税引後の実額を年ごとに集計しました。

運営者が2行から受け取った配当(税引後・年間合計。運営者の証券口座の受取履歴、2021年8月〜2026年6月12日の記録。2021年は8月以降の分のみ)
年 三井住友FG 三菱UFJ 合計
2021年 8,367円 — 8,367円
2022年 17,531円 — 17,531円
2023年 20,719円 1,635円 22,354円
2024年 25,102円 3,628円 28,730円
2025年 33,469円 5,897円 39,366円

株数は変えていないのに、三井住友FGの1回あたりの受取額は2021年12月の8,367円から2025年12月の18,647円へ2.23倍になりました。累計では三井住友FGが10万5,188円(9回)、三菱UFJが1万1,160円(5回)です。

27/3期の会社予想をいまの株数にかけると、年間の配当は税引前で6万3,600円、税引後で約5万700円です。2025年の受取実額3万9,366円の約1.3倍にあたります。

取得単価で見ると、三井住友FGは1,285円、三菱UFJは851円です。27/3期予想の配当で割った取得単価に対する利回りは、三井住友FGが14.0%、三菱UFJが11.3%になります。9月18日の終値での含み益は、三井住友FGが+431.5%、三菱UFJが+325.4%でした。全17銘柄の損益は私の高配当株ポートフォリオ全公開に載せています。

9月18日に買い増さなかった理由

利上げ当日に銀行株が下げたので、買い増しを考えました。結局、注文は出していません。理由は3つあり、比重は均等ではありません。

  • いちばん大きいのは利回りです。いまの2.6%台は、私の保有17銘柄の表面利回り2.78%(2026年8月時点)より低く、買い増すとポートフォリオ全体の利回りが下がります。
  • 2行だけで個別株の評価額の3割強を占めています。
  • 金利が上がると、銀行が保有する債券の評価額は下がります。利ざやが改善する一方で、債券の含み損や与信コストが増える可能性もあり、上昇がまっすぐ利益になるとは限りません。

2行を合わせた評価額は約241万円で、個別株全体(約732万円)の33%でした。金融セクターへの偏りは、インデックス側では薄まっています。私が積み立てているS&P500連動の投資信託には日本の銀行株は入っておらず、オルカンに占める比率もわずかです。個別株だけで見ると偏っているので、ここは増やさずに配当を受け取り続けると決めました。

次に配当が動くのは11月の中間決算

マイナス金利解除の前日から、三菱UFJと三井住友FGの株価はともに+136%上がりました。配当性向は両行とも40%で、27/3期の配当予想は三菱UFJが96円、三井住友FGが180円です。利回りは2.6%台まで下がり、政策金利との差は1.4ポイント前後まで縮んでいます。

次に銀行株の配当が大きく動くのは、11月の中間決算で利益の伸びと27/3期の配当予想が修正されるかどうかです。為替は日米金利差の縮小でドル円が円高に振れる場面もありえますが、両行の配当を決めるのは為替より国内の利ざやです。私は株数を変えずに、受取額の推移をこの記録に足していきます。

本記事の数値の出どころ

  • 株価・指数・ETFの日次終値:Yahoo Finance(2024年3月18日〜2026年9月18日)
  • 1株当たり配当・株主還元方針:三菱UFJ 配当情報、三井住友FG 株主還元方針・配当情報
  • 政策金利:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」各回の公表文
  • 受取配当・保有株数・取得単価:運営者の証券口座の実データ

本記事は特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。配当予想は会社の公表値で、将来の支払いを保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。詳細は免責事項をご覧ください。

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